21人が本棚に入れています
本棚に追加
キイィィィーーーン!ド、ド、ドオォーーーン!
眩い閃光と耳をつんざく轟音と共に、凄まじい衝撃が走っ
た。
昼下がりのカフェテラス。
ゆったりとした造りの店内には、3組ほどの客が軽食を取っ
たりしてくつろいでいる。
蛍野市内の高校に通う愛梨と、その後輩であり、友人である
美瑠羅もその中の一組であり、間もなくやって来る夏休みの話
題で盛り上がっている最中だった。
ドリンクを片手に美瑠羅と談笑をしていた愛梨の身体が、突
然襲い掛かって来た激しい振動で空中に持ち上げられた。
「えっ、な、何?一体これは……地震?きゃぁっ!」
空中に持ち上げられた愛梨の身体が、今度は勢いよく地面に
叩き付けられる。あまりに突然の事で、状況を把握するなどと
ても出来ない状態だった。
彼女達は生まれながらのサイキック能力者だ。しかし、その
能力さえ行使する余裕も無かった。
「あ、痛てて……」
起き上がり、したたか打ってしまった腰をさする。打撲程度
で済んだのが奇跡的な状況だった。
揺れ動く店内、おぼつかない足取りで美瑠羅が側に寄ってき
た。
「大丈夫ですか!どうやらこれは……アレの仕業の様ですね。
先輩、神龍機動かせるんですよね?」
美瑠羅が愛梨を促す様に、その顔を見据えて来た。
再び轟音が近づいてくる。まるで超音速戦闘機のような…
愛梨と美瑠羅はしゃがみ込んで肩を寄せ合い、窓の外に視線
を走らせた。
咄嗟の出来事で、日頃の冷静さを失い欠けてはいたものの、
どうにか気を取り直す。
美瑠羅は普通の生徒だが、愛梨は近く正式に、特殊戦闘部隊
に配属予定の身だ。
今度は落ち着いて超感覚を使い、拡大した意識によって、
今、外部で何が起きているのかを確認しようと試みた。
愛梨の超感覚は黄金色に輝く、巨大な生命体を捉えていた。
「物凄い質量でしたね。私は姿形を感知出来なかったけど、あ
のエネルギー量。大型クリーチャーですね」
美瑠羅は下がり落ちてくるメガネのフレームを指で支えて立
ち上がり、そこいらに散乱したトレイやら何やらを片付けなが
ら、呆然としている神楽を促した。
「先輩。愛梨先輩、しっかりして下さい。意識飛ばして
ないで。ここにいるみんなを避難させないと」
「うん、解ってる。この場にいる、みんなの安全を確保しない
といけないわね。一番近くのシェルターの入り口は?」
最初のコメントを投稿しよう!