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驚いて振り返ると
「電気ぐらい点けなさいよ。どうしたの?」
「お、お母さん……」
母が戸口に立っていた。
「ぶつぶつ独り言いってどうしたのよ」
「な、なんでもないよ」
詰まりながら晴香は答えた。
余計な心配を掛けたくなかったのだが、母は何か気付いたのか、念を押すように尋ねてくる。
「大丈夫?」
「大丈夫」
そう答えるのがやっとだった。
母が去ったのを確認すると、晴香は荒い息で扉に鍵を掛ける。
しばらく上手く呼吸ができなかった。頭がくらくらする。
奈々の場合と同じだった。部屋に鍵があって、家の中には家族がいて、家には鍵が掛かってて、外には人が大勢いる。それなのに……奈々も殺されたのだ。
私も殺される。晴香はうずくまり頭を抱えた。
そもそもなんでわたしがころされなければならないのだわたしはただいじめてきたやつらをこらしめようとおもっただけなのだいやそもそもふりっくしただけでわたしはころしていないなのになんでわたしがころされなければならないのそんなことがあっていいわけないいいわけないいいわけない
暗闇の中、晴香はスマートホンに手を伸ばす。
『残り22時間以内に次の人を殺して下さい』
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