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自覚なき殺人
藤枝美羽は翌日死んだ。
死んだ場所は家の近くのコンビニだった。それもトイレの中。
セーラーの制服姿で便座に腰掛けたまま息絶えていた。死体の右足には下着が引っ掛かったままになっていた。
死因は脳挫傷―とは表現としておかしいのかもしれない。何しろ、頭蓋骨に損傷はなく、脳自体が無くなっていたので〝損傷〟とは言い難い。
一体どうやって中身は無くなったのか。
脳と一緒に無くなっているものがあった。それは彼女を特徴付けていたもので、男子を惹きつけていた目だった。
脳はその穴からスプーンでほじくられたのだった。
一体なぜ、そんなむごい殺され方をされたのか? と、いうことよりも、世間の注目は摩訶不思議な現場の状況に注がれていた。
何しろ、コンビニのトイレの中である。
店員の目も客の耳もあればカメラもある。おまけにトイレはしっかりと施錠されていた。
窓はなく、床も抜けれるような穴はない。
一体全体どうやって殺されたのか。警察もお手上げだ。
まさに完全殺人だった。
完全密室。
痕跡皆無の謎は世間を震え上がらせた。
ゾっとする世間を尻目に、晴香自身はというと……ホっとしていた。
これなら私だとバレるわけがない。
……後の二人も殺せるって。
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