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 老人は 背中に置いた白い布の袋に目をやった。 中には何も入っていない。 老人はもう一度、 眼下に広がる街を見下ろし、 ひとつ大きな溜め息をついた。 「来年はどの街に行こうかのう……」  老人が強く手綱を引くと、 ソリは加速した。 人々には聞こえない鈴の音を響かせながら、 赤いコートを着た老人は、 闇の中へと消えていった。
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