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 午後のやわらかい陽射しが土管に届き、 老人は眩しそうに薄目を開けた。 横になったまま首だけひねり、 自分の塒が日溜りになっているのを感じた。 老人はごそごそと土管を這い出し、 ひとつ大きく伸びをした。 軽く握った拳で肩や腰をぽんぽん叩き、 右に左にと体を動かす。 手を翳して見上げると、 青く澄んだ空は いつもより少しだけ高く感じられた。
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