忘れるために

14/18
566人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
◇ 映画を観終わったら、もうすでに19時をすぎていたから、ファミレスで夕食を食べた。 帰りにあたしのアパートへ寄ってお泊りセットを準備してから、篤史くんのアパートへ向かった。 「理彩、先に風呂に入ってこいよ」 アパートの部屋に入ってすぐに、篤史くんの口から飛び出した言葉。 「え、風呂?」 お風呂は少しゆっくりしてからだと思っていたから、必要以上に吃驚しちゃって。 そしたら篤史くんがそんなあたしをからかうように口を開いた。 「心配すんなって。覗いたりしねぇから」 「なっ! そ、そんなこと思っていないもん!」 「はは、理彩の顔、真っ赤」 自分でも頬に熱が集まったことに気付いていたから、それを隠すように両手で頬を包む。 そのまま篤史くんに背中を向けて、バッグから着替えを出してからバスルームへ向かった。
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!