忘れるために

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◇ あたしが入って、今は篤史くんが入浴中。 シャワーの音を聴きながら、ベッドを背もたれにして座って、一人のんびりとテレビを観る。 篤史くんがお風呂に入る前に出してくれたビールに手を伸ばして、 プシュッ と音をたてながらプルタブを開けた。 ゴクゴクと飲みながら、やっぱり頭の中は蕾斗さんのこと。 一人になるとどうしても考えてしまう。 今日は特に一樹さんに会ったから。 一樹さんはあたしが篤史くんといるのを見てどう思ったんだろう。 でもすでに美波から聞いていたのかな。 蕾斗さんは知っているのかな。 もし知っていたらどう思っているんだろう。 あたしの心の中はまだこんなにも蕾斗さんでいっぱいなんだ。 どうやったら忘れられるんだろう。 篤史くんと前へ進んだら忘れられる――?
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