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身体は熱くなっていくんだけれど、頭の中は蕾斗さんのことでいっぱいになって。
やっぱり、
「篤史くっ、……いやッ!」
あたしの肌に触れていた篤史くんの唇と指が、一瞬びくっとなったけれど、その動きをやめてくれない。
「篤史、くん……やめ、てッ……」
あたしの声が篤史くんには届かなくて、どうしたらいいのかわからなくなってきて、ぽろぽろと涙が溢れてきた。
その涙を見たからか、篤史くんの動きがすべて止まった。
「理彩、ごめんっ! 俺……」
篤史くんはあたしをそのままぎゅっと抱き締めた。
溢れ出した涙はなかなか止まらなくて。
篤史くんはそんなあたしを見て、何度も何度も謝ってくるんだけれど、蕾斗さんを忘れるために篤史くんを利用しているのかも、と思えば思うほど、
あたしの方が篤史くんを傷付けているって気付いて、凄く凄く胸が痛くなった。
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