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「すべてショーですよ、大丈夫、私はあなたの味方です」
「ええ」
しか出せなかった。
「じ、じゃあ、UJ21は?」
「列車の内部に飛行船があります。乗ってください。UJ21も、そちらに移行しますよ」
ちりん
鈴を鳴らしたのは点灯夫。車掌の顔は誇らしげにかがやいている。
かたん
「母さん知っていたの?父さんは?」
ぼくの問いかけに、
「いいのよ」
「大丈夫」
と、母さんと父さんに言われ、訳がわからないぼくは、つい、
「あ、スマホ」
「いいんだって」
なぜか、昔の恋人の味のするドロップを渡された。車掌のすることも、母さんと父さんのいうことも、わからない。
「UJ21、どう?ぼくのスマホ、わかる?」
『リカイヲカクニンシマシタ。スマートフォン、ロック・オン。345654345654、WWW@UJRRRRUダイジョウブデス。カクホシマシタ』
「うん……いいか」
「さあ、旅行へ行っておいで」
「そう、キレイなひとになるのよ」
列車の乗客にそうはやしたてられて、なんだかわからないままの状態で、ぼくは運ばれてゆく。
ぼすん
「斜め上からの、指令ですよ。お嬢さん、私がOSです」
「うわわ」
という声も、びっくりするほどおじさんだったので、ぼくはそっと、UJ21との想い出を、なかったことにした。
END
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