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照明は、スマホに接続したガスからの電波で確保する。小麦色の帽子の色もわからなくなっちゃった。
「UJ21、ぼく、失恋、したよ」
『リカイヲリョウカイシマシタ、アナタヘ、ロック・オン』
「ええ?」
しゃらり
窓辺に重なった鈴なりの、プラスチックの飾りがゆれる。ぼくの耳は、恥ずかしくって、真っ赤になった。
『カワイイデスネ』
「え」
OSめ。
「カメラついてんなら、早めにいってよね、ぼくも、おんなのこ、なんだから!」
ぷいっと、
そっぽを向くと、
UJ21は、
『テヘペロ』
とだけ述べて、シャット・ダウンした。
列車は急角度にさしかかり、激しくかたむく。
「ああ、死か」
「ごらん、死だよ」
母さんも父さんもあきらめて、ため息をついた。ぼくだけが、「逃げなくちゃ!」と叫ぶと、車掌がやってきてこう言った。
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