4. 王子様の正体

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「どうぞッ」 店長さんが切り分けてくれた4分の1ピースをお皿に乗っける。 このお店はお箸で食べてる人も多いみたいだから、あたしも遠慮なくヘラを横に置いたまま、お箸でとろりとしたソースに浸かったそれを持ち上げる。 フーフーと息を吹きかけると、青海苔が頼りなさげに震えた。 「いっただきまーすっ」 思わず改めてそう言って口に放り込む。 甘辛いソースの味と、カリッと焼けた豚肉、キャベツの優しい甘みが口いっぱいに広がって。 「おいひーいっ」 幸せー……。 目も口も鼻も、きっと真横に広がっちゃってる気がするけど、まあいいや。 「うん、やっぱりうまい」 隣の人が満足そうにそう言うと、店長さんが照れくさそうに笑って、また次の調理に移って行った。
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