2. 白馬の王子様

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いつものお休みはジムに行くか買い物に行くかだったから、こんな風に外に出るのは久しぶり。 日ごろ窓のない所で働いているから、真っ昼間の太陽がまぶしく感じるけれど、確かにちょっと良いかも。 あたしの仕事はアパレルの販売。 百貨店の社員として、レディースフロアの片隅で小さな店を取り仕切っている。 カンナさんは、うちの会社の社長のいとこ。 そんな人となんで知り合いかっていうと、あたしの同期で親友の美緒が社長と付き合っているから。 しかもカンナさんは、あたしが通っていたダイニングバー・ミリオンのマスターの恋人でもある。 カンナさんは新聞記者で、実はとんでもなく頭は切れる、らしい。 あたしには、ただのぶっ飛んだ人にしか見えないけど。 まあ、とにかく。 あたしが時たまミリオンに行くと、たいていカンナさんもいて、一緒に飲むようになった。 サバサバしている、この年上のお姉さんをあたしは結構好きなのだ。
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