第1章

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カサカサカサ……。 この音が聞こえると一気に緊張感が高まる。 あいつ―― G様のお出ましだ。 カサカサカサカサ。 風に吹かれて揺れるコンビニ袋とは明らかに異なる音だと、僕はどうして瞬時に判別できるのだろう。 いや、たぶん僕だけでなく人間ならたいていの人が分かるのだろう。 僕は今まで生きてきて、こいつを好きだという人に出会ったことがない。 警戒と緊張感がヒトの感覚をここまで鋭利にするのだ。 カサカサ。 どこだ? どこにいる? 「うわっ!」 思わず声をあげてしまった。 僕の足の甲を横切りやがった。 この感触に一気に背筋が凍る。 なんて気味が悪いんだ。
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