2 二人の『たくみ』

5/9
前へ
/36ページ
次へ
 拓未の問いに、さくらは笑いながらもかぶりを振る。 「ううん、従兄弟のたくみちゃん。」 「え・・・・・・?たくみ?」  子供の名前を聞いて、思わず聞き返してしまう拓未。 「あ、そういえば尾沢君も『たくみ』だったんだよね」  さくらは自分の顔を子供の顔のすぐそばまで近づけて、いつもよりゆっくりしたテンポで続ける。 「たくみちゃん、私のお友達で、拓未お兄ちゃん」  自分と同じ『たくみ』と聞き、今度は子供のほうがきょとんとして、二人を見上げた。 「…おんなじ名前。」 「うん、そうだねー。こんにちは。」  言いながらさくらは、たくみの肩に手を添えて、一緒にぺこりとお辞儀する。 image=488436376.jpg
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加