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「・・・・・・ヒーローと一口に言っても、ほんとうにたくさんいるんだな~。
いや、それだけ当時の子供達は、夢や希望に満ち溢れていたということか」
外見は青年でも、御年120歳。
いかにも年長者というような達観した感想をもらす里倉だが、頭の中ではまた別のことを考えていた。
(・・・・・・それにしても、今日のオタク君は目の輝きが違う。
いつもはどこか自分を出さないようにしている節があるけれど、こうしてみると、無邪気な子供とおんなじだな。
・・・・・・アイツも、そんなところがあったっけ)
目の前の展示に夢中な少年の姿を誰かに重ね、里倉はしばし昔のことを思い出していた。
するとそこへ、数人のチビッコ達が駆け寄ってきた。
「あ~!メガネ怪人マニアンだ!!」
中の一人がそう断言して、里倉を指差す。
「え?」
「少女の敵だ!みんな、やっつけろ~!!」
チビッコ達は一斉に里倉に飛び掛かった。
「え?ちょ・・・・・・あたたた!
な何なんだっていたた・・・・・・オタク君~助けてくれ~!!」
馬乗り状態で髪を引っ張られ、足や尻を蹴られる里倉。
しかし彼の性格上、相手が子供では怒っておしおきすることもできない。
おまけに拓未はその惨状に気付くことなく先に進んでしまい、里倉の助けは届かなかった。
3分ほど経って、里倉がいないことに気付いた拓未が戻って来た時には、既にチビッコ達の暴走は親と会場スタッフによって止められており、あわれ里倉はボロボロになって床に突っ伏していた。
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