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「ひぃ・・・・・・ひどい目にあったよ」
里倉は頭にこさえたたんこぶを擦りながら、服の埃を払う。
「ああ・・・・・・そういえばその格好、こないだの『ジャン拳戦隊チョキレンジャー』に出てきた怪人にそっくりだ・・・・・・」
本当なら笑い出したいところを、拓未は彼に同情して必死にこらえた。
どうやら里倉は、テレビの戦隊ものの怪人と間違われて襲われたらしい。
ヒーローや悪の組織の存在を本気で信じる子供の純心は、時として恐ろしい凶器となるのだと、里倉は身をもって思い知らされた。
「まさか自分が倒される側になるとは思わなかったよ。
『マニアン』なんて、名前まで似ててやな感じ」
里倉はさも不服と言った感じで独り愚痴る。
「本当だったら、これほどこの場所に似合う人もいないんだけどね・・・・・・」
拓未は里倉の容貌がよほど場に合っているだけに皮肉を感じた。
もちろん里倉には、自身の格好が一般の人々のそれと何が違うのか、理解できていない。
「?」
きょとんとしている里倉を尻目に、拓未はすっくと立ち上がると、元気に言い放った。
「よし!次はいよいよ、今日一番の目当てだった『仮面ファイター歴戦の戦士達』コーナー行くぞお!!」
拓未の眼の輝きが2倍になった。
拓未の積極性がぐんと上がった。
(ま・・・・・・まだあるんだ・・・・・・)
里倉は愕然とした。
里倉はトラウマを身に着けた。
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