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「確かにいままでのコーナーとは、少し雰囲気が違うね」
いままで周って来た順路から分岐した別ホールでは、拓未がもっとも愛好するヒーローシリーズである『仮面ファイター』の展示が行われていた。
実寸台人形や当時の資料、原作漫画の原稿や開発中にお蔵入りした幻のキャラクター商品までが、ところ狭しと並べられている。
「ここは宝映ヒーローの代名詞『仮面ファイター』の誕生から各作品のストーリー、現在のシリーズに至るまでを網羅した、ファンには感涙もののコーナーなんだ!!」
暑苦しさ・・・・・・もとい積極性が格段に上がった『スーパー拓未』が、瞳に星を浮かべてひとり恍惚感に浸っている。
里倉は近くに展示された人形達をざっと見通し、あることに気付く。
「こうして見てみると、なんだか僕達ブレイフォースに、どことなく似ているような気がするな・・・・・・」
「だって、セントマーナは元々人の夢からできてるんだろう?
きっと昔や今の子供たちの夢見た戦士のイメージが、里倉さんたちの世界にも反映されてきたんだよ」
「なるほど・・・・・・そう考えると、なかなか興味深いな」
そう言って里倉は頷くと、ふたたび展示を眺める。
けれども、10秒と経たないうちに、「あ、ファイター二号と十文字疾風だ!!」
言いたいことだけ言うと、拓未はまた展示に没頭して、ずんずんと先へ進んでしまう。
「・・・・・・やれやれ」
里倉は問題児を押しつけられた保父さんのような気持ちで、拓未の後を追った。
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