2 二人の『たくみ』

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 拓未はなんだか、急に恥ずかしくなった。 こんな小さな子がすぐそこにいたのに、それに気付かないほど夢中していたのだ。 「ああ、ゴメンゴメン!先に押してください」  どうぞどうぞのポーズをとって拓未が促すと、子供は2、3歩前へ出て、おそるおそるスイッチに触れた。  瞬間、鈍い音のブザーが鳴り、像の口からガスが吹き出る。 「おわぁっ!!?」  二人は驚いて大袈裟に尻餅をつく。  拓未は本気で驚いてのことだったが、子供のほうはむしろ、そのときの拓未の大声に驚いていたように見えた。 「たくみちゃん、大丈夫!?」  声を聞きつけた子供の保護者らしい女性が、すぐさまやって来た。 だが、その柔らかな高音は拓未にも聞き覚えがあった。 「・・・・・・てて・・・・・・って、美咲さん!!?」  驚きのあまり、拓未は尻餅をついたままの状態で身を乗り出す。  そこにいたのは間違いなく、拓未の片想いの相手であり、おそらくクラスで唯一彼のオタク趣味に気付いていない鈍感少女・美咲さくらであった。 「あっ、尾沢君?」  さくらのほうも、拓未の顔を見て目を丸くする。 「その・・・・・・どうしたの?こんなところで」  拓未は内心かなり混乱しながらも、とりあえず一番無難な質問をしてみる。 「きょうはこの子のお守りを頼まれて、一緒に来てみたの」  さくらはそう言って子供を抱き起こすと、その頭の上にちょんと優しく手を乗せた。 「へえ、そうなんだ~。・・・・・・その子、弟?」
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