3人が本棚に入れています
本棚に追加
夏布団の上に薫を下ろして、視線を口元に落とす…弓なりの形のいい唇は、手すき和紙のフロアライトに、珊瑚色を浮かび上がらせていた。
何かが自分を惹きつける…薫を胸に引き寄せ、その香りに包まれるだけで、心がしびれるような快感を、もう一度味わいたかった…
速く激しく、この体に燃えたぎる炎が満たされるまで…心の痛みが灰になり消えて行くまで…そうしたら放してやろうか!
長野は、半ば閉じたまぶたの下から薫を見つめる…枕に拡がる波立つ黒髪を指で梳きながら、彼女の目をのぞきこむ。
「きれいだ…」ささやきながらその指は、吐息のように軽く耳たぶから首筋へと進み、それから両手で薫の頭の後ろを包み込んだ。
薫は身を震わせる…長野の手で体に火が点いていた…追いつめられ引き込まれていく。
彼はその熱い唇で煽るように、導くようにキスをした。
体に弾けるような喜びがこみ上げ、白磁(はくじ)色のブラウスの下の手足に、じりじりとこのまま火傷してしまうかと思うほどの電流が走っていく…
「震えているね…」長野が呟いた。さらに強く抱きしめる。「寒いの?」
答えることができず、薫は首を横に振った。彼が頬を撫でた。「僕が温めてあげるよ」と小声でささやく…
自分の乱れた息遣いだけが、聞こえてくる…薫は、その場で眼を閉じた。
彼のキスは執拗だった…薫には止めさせることも、振り払うこともできない…できるのはただ、彼の欲望を受け止めることだけだった。
闇にほのかに浮かぶ灯りの中で、長野の両手が薫の服の上を滑る…
白磁(はくじ)色のブラウスの上から胸の膨らみを包み込む。薫は、吐息のような声になり、彼に手を伸ばし引き寄せた。
長野はキスを続けながら、ゆっくりとブラウスのボタンに指をかける…
3つほどボタンを外してから、ブラウスを引き上げ、鴇色(ときいろ)のシルクのブラジャーに手を入れて、胸に触れる…
「薫…」長野が耳もとでささやく…たくましい指の下で、頂が固くなる…薫は彼に身を寄せたまま、切なさにあえいだ…
その隙に長野は、キスを深め舌を絡ませた…ブラウスのボタンの最後の一つが弾け飛ぶと、鴇色(ときいろ)のシルクのブラジャーは、シーツの上に落ちた。
そして突然耐えきれなくなったのか、長野は頭を近づけて、頂を口に含んだ。
薫は息をのみ、背中を弓なりに反らせていた。
最初のコメントを投稿しよう!