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海斗は、あれから母親と上手くコミュニケーションが取れずに悩んでいた。
母親は蓮の話題に触れようとしない。聞くのを恐れているのか。
もしかすると、海斗の方から話を切り出すのを待っているのかも知れない。
よそよそしく振る舞う海斗は、自身の心を自ら重くしてしまう。
やはり今日も母親には、おはようと行ってきます以外、何も言わず朝練へ向かった。
「なぁ、海斗、ちょっといいか?」
朝練の休憩で、海斗は北山に呼び出された。
校庭の水道で、辺りに誰もいないことを確かめると北山は口を開いた。
「蓮の事、なんか聞いているか?」
「いや。何も。」
「うーむ。・・・お前ら、また喧嘩した?」
「してないよ。」
喧嘩ならまだ、かわいい。
問題は、それ以上だ。
「そっか。だよな。今回は蓮が暫く休むと親から連絡があったらしいな。喧嘩なら自分で俺に言うだろうし、何で来ないのか詳しい事がわかんねぇんだよなぁ。
携帯も繋がらねぇしなぁ、海斗なら、なんか知ってんじゃねぇかと思ったんだが・・・。」
北山は、考え込むように手を顎においている。
「俺も、何度もかけたけど繋がらなかった。」
蓮は今、何をしているんだろう・・・。
無茶苦茶してなきゃいいけどな。
「なぁ。」
北山が、少し迷った顔をして海斗の方を見ていた。
「ん?」
「今回の事、お前らの、その・・・」
北山は言いにくそうにしている。
「なんだよ?」
「あぁ~、もう!ずばっと言うぜ?お前らが部室でしてたキスと何か関係があんのか?」
「!!!」
言い切った!とばかりの顔をする北山に、海斗は顔を真っ赤にして驚いていた。
「き・・北山・・・」
何で知ってるんだ?見られた?
海斗に動揺が走る。
どこまで知られてるんだ?もしかして皆知ってんのか?
「あぁ~、勘違いすんな!別に責めてる訳じゃねぇし。まぁ、そのなんだ・・・あれだ?」
真っ赤になって俯いてしまう海斗に、北山はふぅと大きなため息をついて、優しい声で言った。
「心配すんな。言いふらしてねぇし、知ってるのは俺だけだ。
お前らが例えそんな関係でも俺らの友情は、なぁ~んも変わんねぇよ。」
「北山・・・」
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