回想  夏の記憶 Ⅲ

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あぁ。北山は何もかも知ってたんだな。知ってて今まで言わずにいてくれたのか。 この前の七夕ライブの時も、喧嘩の仲裁に入ってくれたのは北山だ。 この“漢”は、ほんとに、もう・・・どうしてこう弱い時に救い上げられるんだろうな。 「お前らの事は、試験前の最後の部活で鍵を部室に取に行った時にな。いちゃついてるのが聞こえちゃってね。うん、まぁ、あれは刺激的だったが、邪魔するわけにもいかないだろ?」 「ははっ。」 北山のお道化た様子に海斗が笑う。 「おっ?ようやく海斗が笑ったな。」 「あっ。」 “ようやく、笑った”かー。 どうやら、俺はかなり落ち込んでいたらしい。 「お前には、適わないな。」 ふふっともう一度笑う。 「でさ、本当のところ、蓮と何かあったのか?」 北山は、真剣な顔で海斗を見つめながら言った。 海斗は、北山なら相談できると思った。 “そして、あの七夕の夜の様に、蓮と会って話がしたいんだ。”
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