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「北やん、そろそろ再開するぞ~」
東が体育館の扉から顔を出してこちらに手を振った。
北山は、今行くと東に答えた後、海斗にだけ聞こえるような小さな声で言う。
「今はちょっと、まずいな。」
「そうだな。なら部活の後、駅前にあるコーヒーショップで。」
「あぁ、分かった。じゃぁ、取りあえず戻るか。」
北山は、海斗の背中をポンと押した。
“元気出せ”
言葉こそなかったが、海斗にはそう思えた。
駅前のコーヒーショップは1階のカウンターやテーブル席はいっぱいだったが、2階はがら空きだった。
海斗は、アイスティー、北山はアイスカフェモカを注文すると2階に上がり、隅のテーブル席に座った。
隣の椅子に部活用のバックを置くと、早速北山が訊いてきた。
「お前ら、いつから付き合ってたんだ?」
「実は、お前に見られた日からだんだ。」
あの日以外、部室ではキスはしていない。
「あの日、お互いの気持ちを確かめ合ったんだ。そして・・・キス・・・した。」
なんか物凄く恥ずかしい告白だ。
海斗は顔が真っ赤になった。
だが、意外に北山は冷静にそっかと頷いただけだった。
「蓮の来れない理由さぁ、この間、蓮の母親に俺たちがいちゃついてるとこ見られちゃって。」
「はっ!?」
北山は大きな声を出した。
物凄く驚き焦った顔をしている。
その顔が何だか可笑しくて笑いそうになる。
“お前が見られたんじゃないだろ”
「北山、驚きすぎ。」
「いや、普通は焦るだろ!?で、それから?」
北山は身を乗り出している。
「説教された。男同士で付き合うなって。蓮には近づくなって言われた。」
海斗は、ひどく傷ついたのを思い出し、カップに刺さっていたアイスティーのストローを無駄にグルグル?き回した。
「それで、部活に来れねぇのかな?」
「それは、ないと思う、蓮の親は俺がバスケ部だって知らないようだった。」
「じゃぁ、なんでかいな・・・」
北山は、頬杖をついた。
「蓮は親に反発してたから、それで家から出してもらえないのかもしれない。」
「あぁ、あいつの性格ならありえる。」
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