回想  夏の記憶 Ⅲ

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「北山・・」 北山はアイスカフェモカをストローで吸いながら海斗の方を向いた。 「なんだ?」 「俺たち、間違ってんのかな・・・」 「あぁん?」 北山は顔を歪めている。 「自分の子供には、親の期待とか・・・やっぱあるだろ? それを、男同士っていうのが、がっかりさせてるって解るんだよな・・・。」 北山が呆れ顔で言った。 「あ~。お前、それ、誰の人生だよ?お前の人生は、親の人生か?違うだろ。」 海斗は、少し呆けた顔で北山を見ていたのかも知れない。 今更、そんなありきたりな言葉で勇気づけられるとは。 自分も単純な構造をしているのかな。 「・・・。」 “俺の・・・人生。俺の・・生き方” まだ不透明には変わりないが、今まで違う考えが出来そうな気がする。 その時、海斗の携帯が鳴った。 二人は、顔を見合わせた。蓮かもしれない。 急いで取り出すと、見知らぬ番号が表示されていた。 「誰だろう?」 通話ボタンを押すと、もしもしと言った。 『もしもし、海斗さんですか?』 年配の女性の声が返ってきた。あぁ、この声は! 『吉川さん?』 『そうです。蓮さんのお世話をしている吉川です。いきなりのお電話すみません。 海斗さんにお尋ねしたいのですが。』 いつもの吉川さんと違い、なにかオロオロしているようだ。 『何ですか?』 『今、そちらに蓮さんはいらっしゃいますか?』 『えっ?いませんが・・・』 海斗は不安になった。 その顔をじっと見ていた北山は眉をひそめた。 『実は、蓮さんが昨日から家に戻られてないのですー』 吉川さんは、泣きそうな声で言った。 蓮が家に戻ってない? 蓮!?何があったんだよ?
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