151人が本棚に入れています
本棚に追加
「北山・・」
北山はアイスカフェモカをストローで吸いながら海斗の方を向いた。
「なんだ?」
「俺たち、間違ってんのかな・・・」
「あぁん?」
北山は顔を歪めている。
「自分の子供には、親の期待とか・・・やっぱあるだろ?
それを、男同士っていうのが、がっかりさせてるって解るんだよな・・・。」
北山が呆れ顔で言った。
「あ~。お前、それ、誰の人生だよ?お前の人生は、親の人生か?違うだろ。」
海斗は、少し呆けた顔で北山を見ていたのかも知れない。
今更、そんなありきたりな言葉で勇気づけられるとは。
自分も単純な構造をしているのかな。
「・・・。」
“俺の・・・人生。俺の・・生き方”
まだ不透明には変わりないが、今まで違う考えが出来そうな気がする。
その時、海斗の携帯が鳴った。
二人は、顔を見合わせた。蓮かもしれない。
急いで取り出すと、見知らぬ番号が表示されていた。
「誰だろう?」
通話ボタンを押すと、もしもしと言った。
『もしもし、海斗さんですか?』
年配の女性の声が返ってきた。あぁ、この声は!
『吉川さん?』
『そうです。蓮さんのお世話をしている吉川です。いきなりのお電話すみません。
海斗さんにお尋ねしたいのですが。』
いつもの吉川さんと違い、なにかオロオロしているようだ。
『何ですか?』
『今、そちらに蓮さんはいらっしゃいますか?』
『えっ?いませんが・・・』
海斗は不安になった。
その顔をじっと見ていた北山は眉をひそめた。
『実は、蓮さんが昨日から家に戻られてないのですー』
吉川さんは、泣きそうな声で言った。
蓮が家に戻ってない?
蓮!?何があったんだよ?
最初のコメントを投稿しよう!