現在~冬~ Ⅳ

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 次の日。部活の後、海斗は校門に寄り掛かかる様にして立っていた。 もうすぐ来る頃だと腕時計をチラリとみると時刻は11時半を指していた。 「雪宮君。」 ピクシーこと森野可憐が1年の相楽泉と共にやって来て、海斗に声をかけた。 「やぁ。」 海斗は寄り掛かっていた門柱から、ピクシーの方へ歩み寄った。 相楽は物凄い形相で海斗のことを睨んでいる。 「ちょっと、時間あるかな?」 恐る恐る海斗が尋ねると、ピクシーはいいわよと、泉に部活のバックを渡した。 「泉、先に行って、バック降ろしてて。」 バックを受け取った泉は、途端に嬉しそうな顔をした。 「はい!わかりました!」 ピクシーのバッグを大事そうに抱え、泉は部室へと向かった。 「さっき、すっげぇ睨まれた。ピクシーの恋人ってあの子?」 海斗は泉の後姿を見送りながら問う。 すると、ピクシーは可笑しそうに笑った。 「違うわよ。あの子は可愛い後輩。さしずめ仲のいい姉妹ってところ。」 「ふぅ~ん。俺には、私の先輩を取るな!ビームで、焼き千切られそうだったけど。」 ピクシーは、はははと笑う。いつもの事なのだろう。二人は誰もいない校舎裏へと行った。 「今日はどうしたの?」 海斗は先程コンビニで買った温かい缶ココアをピクシーに投げてよこした。 「おっと、ありがとう。」 上手くキャッチしてピクシーは缶を頬に充てた。 「あったか~い。」 「あのさ、昨日、言った事、訂正させてほしいんだ。」 海斗も、自分のコーヒーを両手でコロコロ転がしている。 「え?」 ピクシーは、不思議そうな顔で海斗を見ていた。 「あ、あんまピクシーが聞いても、関係ないんだろうと思うんだけどさ。俺自身の区切りがね。」 「いいわよ。聞いてあげる。」 悪戯っぽくピクシーは笑った。 「俺さ、蓮の事、愛してたって言ったけど、過去形じゃないんだ。今でもそうなんだと思う。 でも、好きだって気持ちの他に俺はあいつに“何も出来ない自分の後ろめたさ”もあって、だから自分に足枷つけてた。 忘れてくれという蓮以外に、他を見ちゃいけないって。 でも、ずっとそのままでいられる訳なんてないんだよなぁ。蓮だってそうなんだろうし。」
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