第7章

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大学にはもう慣れてきた。 一人暮らしも最初は不安とか恥ずかしい話ホームシックになりかけたこともあったけど今はなかなか楽しくなっている。 バイトも汐が加入して楽になってきし環境はようやくいい方向に向いてきた。 「よーし!色塗り到達」 「毎回思うけど木藍ってどんな絵を描いてんの?」 「そりゃあ君のイメージを思うがままに」 芸術家の考えることは分からないけどさぞ凄い絵なんだろうな。 ようやく解放された俺はふう、と息を吐いて背もたれにがっつりもたれる。 「明~ポテチ食うか?」 「あー何味?」 「サワークリーム」 「何そのチョイス」 少しがっかり気味の俺に汐は「めっさ美味しいんやで」と相変わらずの関西弁で熱弁する。 俺が最近気付いたことは汐の食生活が危ういことだ。 コーラとポテチが大好きなジャンクフード野郎は噂ではたこ焼きよりもハンバーガーが好きという。 「あっ…悔しいけど意外と美味い」 「せやろ?美味やろ」 なんとなく悔しくなりながら二枚目のそれを頂いた。 大学生は呑気である。 授業の間を縫ってこんな風にポテチ食ったり絵を描いたりベラベラ話したりゲーセン行ったりやりたい放題。 そして窓の外の中庭から見えるベンチでイチャイチャする男女のカップルに目線を向けた。
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