第1章

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Nは翌年(Nは高校2年生になる年)には生まれた娘と彼女との3人で同棲するために、第一志望で合格した高校を辞めて鉄筋工業の会社へ就職したのございました。それから休みなく働き続け、計画通り同棲を始まることもできました。娘ができてから一年、今年の地元の夏祭りでは家族3人団欒しながら祭りを楽しむNの姿がありました。 無関係の私はまるで自分のことであるかのような安堵を覚えました。何よりNの彼女と娘への無限の愛を垣間見て、きっと彼なら永遠の家族の幸せを手に入れることができようと確信したのでございます。 私の中学の友人にはもう一人子をはらんだ者がおりました。その子は女の子でMと申しました。 Mとの相手はCASでコメントをしてきた全く関わりのない遥か遠くの他県に住み、歳も10以上の差がある男でした。 CASで知り合いインターネットを通して会話をして一ヶ月。 その男はMの自宅にやって来たのです。そしてあろうことかそのまま行為を致したのでございました。 そしてMは妊娠しました。初めて会ったその日に妊娠しました。 あくまでMの人生でありますから、私に彼女のしたことの良し悪しを申し上げることはできません。 彼女が幸せならばそれで良いとも存じておりました。 Mは複雑な家庭で育っておりました。Mが小学生の頃に両親が離婚し、父はその後消息無縁で、母は他県の男の元へ遊びに行って数日、あるいは数週間帰宅しないこともあったそうです。両親が結婚していた当時から決して裕福な家庭ではなかったようでございますが、離婚後はMと彼女のお母様のアルバイトだけで生活を営んでおりました。その頃には1日に3食の食事をとれないことも稀ではありませんでした。
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