第1章

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子供が生まれた後、その子を養っていけるのだろうか? そんな疑問が私の脳裏をよぎったのでございました。 Mの相手は30歳の男性で就職はしているとのことでございました。妊娠したことを知り、結婚するとの話をしていたようでございましたが、難航していて男性は遠く離れた場所から来てはくれませんでした。 彼女の話を知れば知るほど、私はその男性が信用ならなく思ってしまうのでございました。杞憂であろうことを願っておるのですが…。 Mに子供の成長具合やお相手の男性のことを何度も尋ねたのですが、元々あまり深く考えない気質のあったMからは何一つして確固たる返答はございませんでした。生まれてくる子供への愛情を語る言葉さえも…。 彼女の育ってきた境遇を存じ上げておった私は、確かに彼女への同情を感じてもおりました。 しかし、誕生してくるであろう赤ちゃんはまた別の話ではないでしょうか? 深く考えられ、健康に生き、何より父と母に愛される権利があるのではないでしょうか? Mは妊娠していると判明した時期が遅かったため、中絶という選択肢はありませんでした。 間に合ってたらおろしていたのになぁと笑顔で話す彼女の姿もありました。
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