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クリンク戦術学院。3年制・全寮制の学校で、16-19歳までの、若き才能あふれる生徒たちが、日々切磋琢磨している。
1学年100人、1クラス20人編成で、計3学年15クラス存在している。
時期は夏、夏休みがあけたばかりの生徒たちは、白を基調とした制服を各々まくりつつ、1-Aでは先日終結した、対サタリア共和国との小規模な戦いについての話が飛び回っていた。
「ヴェニス帝国が56213人の死傷者なのに対して、サタリア共和国は198250人の損害だってよ。どうやら第三部隊をおとりに、敵の本陣を挟撃したらしい。」
「まーた作戦指揮官は<軍師>殿だってよ。参謀としてはとても優秀なのかもしれねえけど、俺はそいつの指揮下には入りたくねえな。」
「全く持って同意ね。あんな所の指揮下に入ったら、命がいくつあっても足りないわ」
朝の騒々しい喧騒の中、淡い栗色の髪をした少女が窓の外を見ながら一人思考の渦に呑まれていた。
(ヴェニス帝国に突然現れた若き天才軍師、シャターン少尉、か。年齢は私たちと同じ16歳。まるで戦場をチェスでもしているかのように、最小限の損害で最大限の勝利をとっていく…確かにこの国に多大な貢献をしている人物だけれども、それと同時にその非道な策略に<氷の軍師>とも呼ばれている……かぁ…ああもう、なんでそんな人物がここに来るっていうのよ…)
少女はそこまで想像し終えると、頭を抱え机に突っ伏す。
その後ろに、ひょこひょこと猫耳をはやした少女が近づく。
「…メリッサ、大丈夫?」
そのままその少女はゆさゆさと彼女をゆすり続ける。
(しかもくるってことだけわかっておきながら顔や姿形までわからないとか…更には今日だけで転校生が6人って…いったいどれが<軍師>なのやら……)
かなり深く思考にふけっているのか、猫耳の彼女の揺さぶりに全くといって良いほど反応しないメリッサと呼ばれた彼女。
そのまま数秒ゆすり続けたあと…
「…えい」
むんず、という効果音が聞こえてきそうな勢いで、メリッサの胸を掴んだ。
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