第一章 始動

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「であるからして、我が校の、ひいては誉れ高き帝国軍人として、学友と切磋琢磨し…」 縦横、綺麗に整列し、直立不動で壇上で立っている人物…このクリンク戦術学院の校長…の話を聞いているこの学校の生徒達。 綺麗に白に染め上げられた隊列の中に、ポツンとひとつだけ黒い点がある。シークスだ。彼もまた、周りの生徒と同様に校長の話を聞いている…振りをして、脳内では別のことを考えていた。 (<軍師>シャターンとしてではなく、タダの一人間として動くのは久方ぶりか…) 脳裏をよぎる、過去の記憶。『お前は人じゃない。』刃のように鋭く胸を突き刺す言葉。だが、今となっては何も感じる物がない。 (僕もなれたものだ…。それにしてもメリッサ、とかいったか?ふむ…) 自分の考えている人物ならば、気を付けねばなるまい。心の中で彼はそう思った。 シークスがメリッサに少し警戒心を発揮している頃、その後方でひとりの女性…フィリーが、奇しくもシークスと同じくメリッサについて思いを寄せていた…とても真剣な表情で。 (79cmから80cmの大台に乗っていた…より良いもみ心地に…!) 彼女が何について妄想していたのか、最早語るまでもないだろう。
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