第1章

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はっ、はっ、はっ 少年が息を弾ませながら走っている。 真剣な顔をして、ときどき辺りを見回しながら誰かを探しているように。 手に持った鞄を大きく揺らしながら、長くなだらかな丘を上り、小さな四つ辻に差し掛かった時だった。 少年は何かに気づいて急に立ち止まると、横を向いたまま、しばらく動かない。 しかし、まるで見失ってしまうのを怖れるかのように、今度は急いで歩き始めた。
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