銀灰の護り人

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「じゃあちょっくら行ってくらぁ」  アベルとジスランが旅支度を済ませイン国に向かう事になった。  ローランの話に乗った形だがあくまでアベルとジスランの自主性に任せる事になる。  もし目当ての人に会えても話せる状態にあるかも分からないし故国の事を知りたいと思っているかどうかなども全然分からないのだ。  そこ等辺もアベルとジスランの判断に任せる事になっていた。  その上でもしリュカの事を聞けそうで聞きたそうならばという条件だ。  生きているのかどうかも情報も少ないながらもアベルは簡単に面白そうだ、と快諾したのだ。  それにしても長い旅路になると思う。  「アベル、ジスラン気をつけてね」  「任せとけ」  「アベルがいれば大抵の事は大丈夫だよ」  ジスランが苦笑しながらも頷いている。  「頼んだぞ」  「おう。じゃあな」  いたって簡単に二人は馬に乗ると手を挙げてローランの屋敷を出て行った。  まるでちょっと出かけてくるといわんばかりに本当にあっさりした出立だったが、リュカはローランと一緒に二人の姿が見えなくなるまでずっと見送った。  「…簡単に行っちゃった」  「あいつらはいつもそうだ」  ローランも苦笑している。  「そしてある日ふらっと帰ってくる。忘れた頃に帰ってくるさ」  「…うん」  リュカはローランとここで待ってればいい。アベルとジスランもここが帰ってくる場所になればいいのに…自分が幸せだと人の幸せも願わずにいられないらしい。  そっとローランの手にリュカが手を重ねるとローランの大きな手が力強く握り返してくれた。
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