銀灰の護り人

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 それでも15年前に起きた王の嗜虐事件によって王が前王の弟に取って代わってからは幾分ましになったのだと大人達は言う。  税制が変わったのでまだ暮らしていけると。  …それでも貧しい。  くっとリュカは唇を噛み締めた。  一見見た目は長閑な農村地帯に見えるけど、日々の暮らしは厳しい。  ドニの家だって苦しいのに盗賊に襲われ、一夜にして親も家も全部を失ってしまったリュカをドニの家族は迎えてくれた。  襲われた日の事を思い出すだけでリュカは体が震えてしまう。  「リュカ! 逃げなさい! 地下道を通って! 分かっているわね」  父親が闘って盗賊を抑えている間に母親がリュカを隠し扉に押し込んだ。  「いきなさい! 」  「母さん! 」  どうしてこんな地下道があるの?  ほんの小さい頃から地下道の存在は教え込まれていた。  でもどうしてか、とか詳しい事は教えてもらえなかった。  母さんも父さんも茶色の髪。それなのにリュカは金糸の綺麗な淡い金髪だった。目の色も薄い綺麗な青色。  母さんのおばあさんがリュカと同じ髪と目だったの。  そう教えられていたけれど、どこも両親と似た所はなかった。それでも両親はリュカを可愛がってくれた。  だからいつも言葉は飲み込んでいた。  僕は一体誰の子…?  わかっていた。両親が本当の両親じゃない事をリュカは肌で感じていたのだ。  でもそんな事一言も誰にも言わなかった。  近所でも似てない親子だねぇ、とよく言われていたけれどそれでも愛情を持って両親は接してくれたので誰も本当の親子じゃないなんて思ってもなかった。  でもリュカは感じていた。  それでも両親の愛情を疑った事もなかった。  リュカの両親は父さんと母さんだけだった。  でももういない…。  ここに帰ってこられるのかなんてリュカにも分からないけれど、いつまでもドニの家に厄介になっているわけにもいかなかった。  リュカが世話になればその分食料が減る。働いても作物が多く取れるわけでもないのに食い扶持だけが増えるのだ。
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