銀灰の護り人

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 「すみません…鉱石場の募集で来たんですけど…」  馬車近くにいた兵に恐る恐るリュカは話しかけた。見るからに柄の悪い兵士で少しばかり気後れしてしまう。  町に入ってからはリュカはボロのフード付きのポンチョを纏い目立つ金の髪を隠していた。  「ああ? なんだガキが…? 役に立つのか? 」  「元気ですよ。病気一つした事ないですから」  ここでいらないと言われたらどこも行く所がなくなってしまう。  慌ててリュカは自分を売り込んだ。    「まぁ少しでも動けるならいいけどな。じゃあ乗れ……ん? 」  兵士がリュカのフードで隠れた顔を覗きこんできた。  「なんだ綺麗な顔してるじゃねぇか。鉱石場に行くよりも男娼になった方がいいんじゃねぇのか? 」  下卑た笑いを受けながらリュカは馬車に乗りこんだ。  何度かドニのお父さんの使いで町に来る度に声をかけられ、そして男娼がどんな職種かという事をなんとなく知った。  …でもそんな事は出来ない。  両親に口を揃えて自分を大切にしなさいと言われていた。体を売るよりも鉱石場の方がましなはず。  男娼がどんな事をするのかリュカはきちんと分かっていたわけではないけれど、今の兵の下卑た笑いを見るだけでもそれが褒められた事でない事は分かる。  黙って馬車に乗り込むとすでに10人ほど乗っていた。  年老いた人もいるしリュカと同じ年位らしい少年もいた。ただ誰もが身なりはリュカと同じようなボロを着て疲れ果てた顔をしている。  リュカも同じ顔をしているのだろうか…?  どこに座ろうかと思いながら同じ年位らしい少年をちらと見ると視線が合った。向こうもリュカを同じ年位に思ったのだろう。小さくリュカに笑みを見せたのでリュカはそっと近づき隣に腰掛けた。  子供でこんな馬車に乗るくらいだからこの少年も何か事情を抱えてるのだろう。そしてリュカもまたそうなのだ。  「こんにちは」  「こんにちは」  少年の方から話しかけられてリュカは答える。  そばかすだらけの赤毛のやせ細った少年だった。リュカも年のわりには細いと思うけれどさらに少年は細い。
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