1、森高くんの話

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「そうそう、海野くん。あの子、中2の彼女妊娠させたらしいよ」 「マジで!?」 「堕ろすらしいけど。よくやるよね」 「ありえない。彼女かわいそう。昨日のゴム拾ってプレゼントしてあげればよかったかな」 「あはは、だねー。あげれば良かったんじゃない? ねえセリ」  セリ、とは、ここまでずっと黙っていた樋口(ひぐち)さんだ。 「ゴムにハマるほど、大きくないんじゃない」 「あははははは、セリ、ウケる。てか、ひどい」 「ゴムの使い方も分からないでやるなって話」  樋口さんは腰まである長い髪を揺らして立ち上がった。  ふいに、僕のほうをちらっと見た。
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