1、森高くんの話

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 てか、自分の蒔いた種だろう。  なんで他人をアテにするんだ。  そう思うのに、僕は「いくらかかるの?」と訊いていた。 「とりあえず、10万円」  とりあえずってなんだ、とりあえずって。  しかも、少し声が明るくなった。  貸してもらえると思ったのか。  ……10万円、か。  ふと、僕のなかに、嫌な想像が過ぎった。  ワンボックスカーのなかでキスをしていた樋口とサラリーマンふうの男。  ――最悪な計画だ。
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