1、森高くんの話

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 確かに見たはずだ。  だけど、すぐにまた瞼を閉じた。  動揺なんか皆無だ。 「お前なんかに興味ない」って、言葉で言われるよりもはっきりしていた。  僕は言い返したくなった。 「こっちだって、お前なんかに興味ない」って。  だけど、無理だ。  すべてが一方的だ。  僕にいっさいの主張を許さない。  男の手が、彼女の白い頬から黒髪に伸び、ぐちゃぐちゃに撫で回している。  自然とその手が胸の膨らみを捉えたとき、僕はやっと、ワンボックスに背中を向けた。
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