1、森高くんの話

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 清掃時間の今、ほうきを持って突っ立っているだけの僕は、どう考えても優等生ではない。 「森高(もりたか)くん、河野(こうの)さんってどう思う?」  若林(わかばやし)がこそっと指さしたのは、クラス一ぽっちゃり系の河野さんだ。  若林の質問の意味は、「河野さんを恋愛対象に見ることが出来るかどうか」ということ。  僕は「ない」と言った。 「でもさ、痩せたら可愛いんじゃねえ?」  節操ないな、こいつ。  僕はもう一度、「ない」と言った。 「じゃあ、吉川(よしかわ)さんは?」
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