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…………もう、限界だった。
「ふざけんなよッ!!」
辞表と書かれた白封筒をくしゃりと握り締める比呂斗(ヒロト)の細く長い指。
力を込めすぎて白くなった甲に血管が浮き出ている。
「なんだ、これ」
拳を机に叩きつけ、俺を見上げるその鋭い視線。
…………それも、これが最後。
「…………申し訳ございません」
できるだけ感情を込めないようにして、俺はそれだけ告げる。
…………ごめんな、お前にそんな顔させて。
「何が不満だ」
「いえ、何も」
「じゃあッ、なんでッ……!!」
肩を震わせて俯く比呂斗。
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