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たった一つだけ空いているスツールに戻る。
腰かけようとつま先立ちしたときに、
亜紀は力が抜けそうになった。
やはり、中心に異物があるからどこか変だ。
それを左右の男性に悟られないようにして、
そっと座った。
マスターが笑顔で近づいてきて、
温かいおしぼりを亜紀へ渡した。
「冷蔵庫のビールが無くなってしまって」
そう口にして、亜紀の前に置いてある
シャンパン・グラスにコロナ・ビールを注いだ。
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