300人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
『蜃気楼』の立て看板の向こうに三日月があった。
下弦のスリムな姿は悪戯(いたずら)好きな
幽霊にお似合い。
(今夜は幽霊に会えるかな・・・)
亜紀は妙に陽気な気分だった。
厚い木製のドアを引くと店内は満員に近かった。
亜紀は開いている場所を探そうと首を伸ばした。
するとそばまできていたマスターが。
「あそこの席へどうぞ」
と手で示して亜紀を案内した。
そこはちょうど真ん中のスツールだった。
右も左も男性が三人ずつ並んでいる。
最初のコメントを投稿しよう!