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「そうだな。俺にはお前の辛さとやらは分からない。」
「…」
「でもな、これだけは言っておくよ。辛さは共有出来るんだ。…あ、名前なんて言うんだ?」
「…レン」
ファミリーネームは無いしね。
僕、捨てられてるし。
「ふ~ん。そうか。じゃあレン」
?!
急に力強く抱きしめられる。
「家族になるか…?」
?!
「い、いいの?こんな僕が家族になって?魔力も無い落ちこぼれだよ?存在価値も…「レン!」?」
「レン、この世で存在価値の無い人間なんていない。確かに綺麗事だけど、生きている限り存在していて、生きる為に沢山の生き物を犠牲にしている。それなのに自分は存在価値が無いなんて言うな。
それにな、俺がレンと家族になりたいと思ってんだ。俺はお前を必要としている。
それでも、存在価値は無いか?」
僕は、首を横にふる。
何度も何度も。
嬉しかった。
初めてだった。人に必要とされるなんて…。
僕は、泣いた。
思いっきり。
「落ち着いたか?」
コクン
あれから、僕は僕の過去について、少しずつ話していった。
この人は黙ってずっと抱き締めながら聞いてくれた。
あ…、この人の名前…
「あ、そうだ!レン。これからよろしくな。俺は、タクト・シェイド。で、お前今日からレン・シェイドな。」
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