第2話 彼が会社を辞めない理由

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本当はそろそろ切り上げようと思っていた所だ。 今日やらなくてはいけないことは、もう十分に終わっていた。 「ふうん…………」 そう答えても比呂斗は一向に動こうとしない。 「あの…………そこにいらっしゃると集中できないんですが」 「さっきまでしてただろ。俺のことなんて目に入ってなかった」 「それは、社長こそッ…………」 …………俺の方を一瞬たりとも見ようとしていなかったくせに。 何でそんな言い方するんだよ。 「…………戻してください、秘書室に」 このまま毎日、比呂斗と同じ部屋にいるだなんて耐えきれそうにない。 ただでさえ、ほとんどの時間顔を突き合わせてるって言うのに。 このまま…………何もなかったかのように四六時中、比呂斗の傍にいるだなんて俺には無理だ。
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