第2話 彼が会社を辞めない理由

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「何でだよ」 「やはり集中できません」 「どうして?」 「どうして、ですって?」 お前に興味なんかないと、無言で首を絞められているような気がするからだ。 こっちはお前のことが気になって気になって仕方がないのに…………ッ! 「社長こそ、なんでこんなことしたんです?」 どうにか冷静さを保った声を出して尋ねる。 俺の意見も聞かず、俺に告げもせず、急に席を移動させるなんて。 今までそんな話は一度だって出てきたことがない。 「…………」 急に押し黙った比呂斗から視線を外し、俺は眼鏡を外した。 「なんで…………あんなこと、したんです…………」 もはや手は完全に止まっていた。 溜め息をついて、PCの電源を落とす。
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