第2話 彼が会社を辞めない理由

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「本気で言ってるんですかッ!」 「当たり前だろッ、さっさとやれよッ!」 「こんなこと出来るわけないじゃないですかッ!」 「他人ができねぇことをやらなくてどうすんだよッ、さっさと行けッ!」 バシッと書類を叩きつけた比呂斗をキッと睨みつける。 上背のある俺を下から睨み返す比呂斗。 お互い一歩も負けてはいない。 しかし、社長である比呂斗の方に分があるのは必然。 俺はこれ見よがしに顎をグイッと上げながらその書類を拾い、無言のまま社長室を出た。 社長室に隣接した秘書室では第二秘書、つまり言わば俺のアシスタントの八木が心配そうに立ち上がった。 「また派手にやりましたね」 「……すまん」 八木は微笑んで小さな肩をすくめた。 茶色い髪が肩の上でふんわりと揺れる。
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