第2話 彼が会社を辞めない理由

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何とか頭を切り替え、事業部長を捕まえて打ち合わせをし、戻って来た頃にはもう夕方になっていた。 慌てて社長秘書室に駆け込めば…………、 「うッ、嘘だろッ…………」 …………俺のデスクが消えていた。 これは…………これは俺に辞めろということなのか。 辞表を取り下げたのに、比呂斗の方から切られるのか。 やっぱり、自分のことを好きな男なんて傍に置きたくなくなったのか。 それとも、さっきの言い合いが心底頭に来たのか…………。 グルグル回る考えに茫然と突っ立っていると、社長室の分厚いマホガニーの扉が開いた。 「あっ、お帰りなさい」 八木が慌てて顔を出す。 「八木くん、俺の…………」 「お前のデスクは今からこっちだ」
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