156人が本棚に入れています
本棚に追加
「いいからそこにいろよ」
比呂斗は素っ気なく言って、自分のデスクにさっさと戻る。
PCを開き、仕事を再開した比呂斗に言い返す気も失せ、俺は溜め息と共にデスクについた。
手にしたままだった書類を片手に報告書を仕上げる。
一心に仕事をしているつもりだったが…………同室にいる比呂斗が逐一気になって仕方がない。
比呂斗はこっちのことなんか、まるで気にしていないというのに。
それにまた一人イラついて、力任せにキーボードに指を叩きつける。
悔しさに奥歯を噛みしめながら必死で仕事をしていたら、いつの間にか集中していたようだった。
「…………まだかかんの?」
「え?」
ふと見上げればPCの上から比呂斗が覗き込んでいる。
思わぬ近さに、さっと身を引いてしまった。
「…………そうですね、もう少し」
そう告げて、視線をキーボードに戻す。
最初のコメントを投稿しよう!