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「なんなの、あの人……」
自分の言いたいことだけ言って……。
脱力しながらも、いつもより少し踏み込んできた気がする宮内さんに戸惑う。
だけど、手の甲に書かれた電話番号を見て、予定のない日、一人ではいたくない夜、宮内さんとご飯にでも行くのもいいかもしれない、と思った。
さっき、真田さんの話に、少し動揺してしまった自分がもどかしい。
真田さんとは、なにもないのに。
二人になった時も、真田さんはなにも言ってこなかったし、上司の顔も外さなかった。
それは、なにもなかったことにする。
そういうことなんだと思う。
自分の願った通りになっているのに、なぜか胸がもやもやする。
その気持ちを振り払うように、強めにヒールを鳴らして給湯室をあとにした。
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