212人が本棚に入れています
本棚に追加
「女の子がそんな大きいため息ついたらアカンやろ」
台に両手を付いて下げていた頭に、そんな声が落ちてきた。
誰か見なくてもわかる関西弁に、振り返らずに返事をする。
「宮内さん、お疲れさまです」
「お疲れさん。
なんや冴えへん顔してどうしたん? かわいい顔が台無しやで」
「はぁ、どーも」
「まぁ、そんなアンニュイな顔も、そそるっちゃそそるけど」
「はぁ、どーも」
「なんよ、その返し。調子狂うわ」
苦笑した宮内さんは、隣の棚に腕を組んでもたれる。
「どうしたん? なんか嫌なことでもあったん? 仕事?」
「いえ、仕事のことじゃないんですけど……」
コーヒーメーカーの隣に置いていた携帯を見る。宮内さんがその視線を追った。
最初のコメントを投稿しよう!