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「水野さん、ごめんね。まさかこんなことになるとは思ってなくて」 「そんな、全然。真田さんのせいじゃないですし、私も気付きませんでしたし。 それに、すごく楽しかったです」 「うん、俺も楽しかった。 水被るなんて滅多にないしね。しかも、真冬に」  真田さんのせいで、また思い出し笑いが込み上げる。  それを噛み殺していると、真田さんがカーステレオのスイッチを入れた。  ピアノの柔らかい音で流れ始めたそれは、有名なクラッシック曲。  音楽にあまり興味のない私にはタイトルまではわからないけど、それは、とても聴き慣れたもので、懐かしさを呼んでくる。  理奈ちゃんがよく聴いていた曲。  一緒に部屋で聞いていた一場面が頭を過ぎって、胸に苦いものがじわりと広がる。  今はそれを振り払いたくて、明るめの声を出した。
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