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ダークグレーのダウンジャケットに、黒のVネックのカットソー。濃い青のジーパン。
決して老けている訳ではないけど、落ち着いてるせいか上司だからか、“年上の大人の男性”と勝手に認識していた真田さん。
だけど、私服だとスーツよりも若く見えて、二つしか変わらない同年代なんだということを実感する。
「水野さん、早いね」
「真田さんだって早いじゃないですか」
気合い入れすぎだと指摘された気分になってしまって、気恥ずかしくて言い返す。
そう言い返したところで、この格好を見れば、一目瞭然だとはわかっているけど。
「うん。楽しみだったから、早く家出ちゃったんだよね」
真田さんはなんの気なしな風にそう言うと、
「これ、水野さんの分」
と、チケットを差し出した。
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